守秘義務契約(NDA)の作り方と活用シーン|情報漏洩を防ぐ基本対策
- fg-all
- 6月4日
- 読了時間: 3分
はじめに
ビジネスにおいて「秘密保持契約(NDA)」は、情報漏洩を防ぐための最も基本的な法的ツールです。アイデア提案・業務委託・業務提携など、契約前段階や取引開始初期のタイミングで交わされることが多く、その重要性は年々増しています。
しかし、「NDAって何?」「どこまでが“秘密”なの?」「書式はどんなもの?」といった疑問を持つ方も少なくありません。
この記事では、守秘義務契約の基本構造・書き方・活用シーン・注意点をわかりやすく解説します。
1. 守秘義務契約(NDA)とは?
NDA(Non-Disclosure Agreement)とは、契約当事者が業務上知り得た秘密情報を第三者に漏らさないことを約束する契約です。
目的は明確で、以下のような大切なビジネス情報を守ることです。
✅対象となる情報の例:
• 商品企画・技術資料・設計図
• 顧客リスト・営業戦略・価格設定
• 契約条件・仕入れ先・未公開データ
2. NDAが必要な典型的なシーン
• 新サービス・商品の共同開発
• 外注業者との発注前の打ち合わせ
• 業務提携・M&Aの事前協議
• インターン・アルバイト・副業メンバーへの業務委託
• 起業前の仲間とのアイデア共有
→ アイデアや情報の“価値”が漏洩する前に、「黙って守る」という法的枠組みを整えることがNDAの目的です。
3. NDAの基本構成と記載内容
✅① 契約当事者の明示
• 氏名/会社名・所在地・代表者名など
• 双方が秘密保持の義務を負う「相互NDA」か、片方だけの「片務NDA」か
✅② 秘密情報の定義
• 「本契約において“秘密情報”とは、書面・口頭・電子データによって開示された一切の技術・営業・経営情報を含む」など
✅③ 利用目的の限定
• 「受領者は、開示者の事前承諾なしに、本契約に定める目的以外に秘密情報を利用しない」
✅④ 第三者への開示禁止
• 情報を家族・友人・他社・SNSなどに漏らさないことを明文化
✅⑤ 義務の存続期間
• 「契約終了後も、秘密保持義務は3年間継続するものとする」など
✅⑥ 違反時の対応(損害賠償)
• 「受領者が義務に違反した場合、開示者に生じた一切の損害を賠償する責任を負う」
4. 守秘義務契約作成時の注意点
• あいまいな表現は避け、「秘密情報」の定義を具体的に
• 開示・受領の両方を想定した内容にしておく(特に相互NDAの場合)
• 電子メールや口頭情報も含める記載を忘れずに
• 契約の発効日・終了日・適用範囲を明確に設定
5. NDAの誤解と限界
• ✅ NDAを結んだからといって「情報漏洩が物理的に防げるわけではない」→ あくまで違反時の法的責任を問える“証拠と枠組み”を残すもの
• ✅ 契約が不明確だと裁判で効力が否定される可能性も→ 雛形のまま使わず、案件に即した調整が必要
まとめ
守秘義務契約(NDA)は、「アイデア」や「信頼」を守るための最初の一歩です。口約束ではなく文書にすることで、安心して情報を開示・共有できる環境が生まれます。
ビジネスにおけるスピードや柔軟性を確保するためにも、**トラブルを未然に防ぐNDAの整備は今や“基本マナー”**とも言えるでしょう。
確実な内容にしたい場合や契約書の調整が必要なときは、行政書士に相談して実務に即した内容に最適化することをおすすめします。
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