契約書における損害賠償条項の書き方と注意点|トラブル対応の備え方
- fg-all
- 6月5日
- 読了時間: 3分
はじめに
「契約書って必要?」という問いに、ほとんどの人が「トラブルを防ぐため」と答えるでしょう。その中でも特に重要なのが、損害賠償に関する条項です。
もし一方が契約を守らなかった場合、どこまで責任を負うのか?万が一損害が発生した場合に、どのような補償がなされるのか?
これを明確にしておくことで、契約の信頼性が大きく向上します。この記事では、損害賠償条項の基本的な書き方や注意点、トラブルを未然に防ぐためのポイントを解説します。
1. 損害賠償条項とは?
契約上の義務違反や過失により、相手方に損害が生じた場合に、その損害を補償する責任について定めた条項です。
✅主な目的:
• トラブル時の責任の所在を明確にする
• 裁判になった際の「損害の範囲」を限定する
• 一方的に不利な立場にならないよう保護する
2. 基本的な書き方の例
✅シンプルな損害賠償条項の例:
「本契約の当事者が、本契約に違反し、または不法行為により相手方に損害を与えた場合、当該当事者は、その損害を賠償する責任を負うものとする。」
✅賠償額の上限を定める場合:
「当事者が負う損害賠償責任の総額は、当該契約に基づき支払われた報酬総額を上限とする。」
→ 上限の設定により、予想外に高額な請求が発生するリスクを軽減できます。
3. 書き方の注意点
✅損害」の範囲を明確にする
• 直接損害:納品遅延による実損など
• 間接損害:利益喪失、信用毀損、風評被害など
→ 通常は「直接損害」に限定することで、想定外の請求を防ぐことができます。
✅「過失」「故意」「軽過失」の扱いに注意
• 「軽過失(ちょっとしたミス)」にも責任を負うのか?
• 「重大な過失・故意」の場合は免責されないと明記しておくべき
4. よくあるトラブル事例と対処法
事例①:納品遅れによりイベントが中止 → 多額の損害賠償請求
→ 損害の範囲を限定+上限を設定していれば、予防可能
事例②:成果物に不備があり、相手企業が営業停止に
→ 「第三者損害を含む賠償責任を負わない」といった文言で責任を適切に限定
5. 行政書士がサポートできること
損害賠償条項は、契約全体のバランスに影響するデリケートな部分です。一方的に有利・不利な契約内容は、裁判でも無効とされる可能性があります。
行政書士に相談することで:
• 自社や依頼者にとって公平で現実的なリスク分担を実現
• 条文の文言を業種や契約内容に応じて調整
• 相手との交渉用に、説得力あるドラフトを作成
→ トラブルに強い契約書を、事前に整えておくことができます。
まとめ
損害賠償条項は、契約書の中でもトラブルが発生したときに“真価を発揮する”重要な条項です。
• 明確にしなければ、過大な請求を受けるリスクあり
• 書きすぎても、契約が成立しにくくなるリスクあり
バランス感覚が求められるこの条項は、プロの視点での調整が非常に有効です。不安な場合は行政書士に相談し、あなたの業務や立場に即した条文設計を行いましょう。
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