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フリーランスが知っておくべき準委任契約のすべて!トラブル回避のポイントを行政書士が解説

  • fg-all
  • 6月5日
  • 読了時間: 9分

フリーランスとして活躍する皆さんにとって、クライアントとの契約はビジネスの根幹です。特に、Web制作、コンサルティング、記事執筆、デザインなど、多くの業務で締結されるのが**「準委任契約」**。しかし、「準委任って何?請負とどう違うの?」「成果が出なくても報酬はもらえる?」「途中で契約を解除されたら?」といった疑問や不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。

準委任契約は、その特性を理解していないと、「言った言わない」のトラブルや、報酬に関する認識の齟齬など、フリーランスにとって致命的な問題につながる可能性があります。あなたの自由な働き方を守り、安心してビジネスに集中するためには、準委任契約の基本と実務上の注意点をしっかり押さえておくことが不可欠です。

【ブルーナ行政書士】は、多くのフリーランスの方々からの契約に関するご相談を受けてきました。この記事では、フリーランスの視点から準委任契約の基礎知識をわかりやすく解説し、契約締結時のチェックポイントや、トラブルを未然に防ぐための具体的な対処法を、行政書士が徹底的にアドバイスします。ぜひ、あなたのフリーランス活動をより安全で確実なものにするためにお役立てください。


基礎:フリーランスと準委任契約の密接な関係

フリーランスがクライアントと結ぶ契約の多くは、実は**「準委任契約」**に該当します。まずは、その基本と、混同しやすい「請負契約」との決定的な違いを理解しましょう。

準委任契約とは?フリーランスが知るべき本質

準委任契約は、「特定の業務をすること自体」を目的とする契約です。フリーランスがクライアントから「〇〇に関する調査」や「〇〇に関するアドバイス」「システムの保守・運用」といった業務を依頼され、その業務を遂行することに対して報酬が発生します。

  • 目的は「行為」の提供: 「成果物」を完成させて納品することが義務ではありません。例えば、コンサルティング業務であれば、「助言を行うこと」が目的であり、「売上を〇%アップさせる」という結果を保証するものではありません。

  • 「善管注意義務」を負う: フリーランスは、その専門家として当然払うべき注意を払って業務を遂行する義務(善良な管理者としての注意義務)を負います。業務を誠実に、適切に行っていれば、期待通りの成果が出なかったとしても、原則として責任を問われることはありません。

  • 報酬は「業務遂行」に対して発生: 成果の有無に関わらず、業務を行ったことに対して報酬が発生します。月額固定報酬や時間単価での報酬設定が一般的です。

請負契約との決定的な違い

フリーランスが業務委託でよく締結するもう一つの契約形態が**「請負契約」**です。この両者は、報酬の発生条件や責任の範囲が大きく異なります。

項目

準委任契約

請負契約

契約の目的

業務の遂行そのもの(行為の提供)

仕事の完成(成果物の納品)

報酬

業務を行ったことに対して発生

成果物が完成・納品されたことに対して発生

主な責任

善管注意義務(業務を適切に遂行する義務)

契約不適合責任(成果物の品質保証義務)

結果責任

負わない(業務の不履行がなければ)

負う(成果物が仕様通りでなければ)

コンサルティング、システム保守、セミナー講師、調査業務

Webサイト制作、システム開発、記事執筆、デザイン制作

Google スプレッドシートにエクスポート

フリーランスとして業務を受ける際は、**「自分の仕事は成果物の完成が求められるのか、それとも業務の遂行そのものに価値があるのか」**を明確にすることが、契約形態を見極める最初のステップです。

実務でありがち!フリーランスが準委任契約で失敗するケースと回避策

準委任契約はフリーランスに多くのメリットをもたらしますが、その特性を理解していないと、思わぬトラブルに巻き込まれる可能性があります。ここでは、よくある失敗例とその回避策をご紹介します。

失敗ケース1:業務範囲が曖昧で「これは追加料金?」トラブル

【背景】 WebマーケティングのフリーランスAさんは、クライアントB社と「Web広告運用コンサルティング」の準委任契約を締結しました。契約書には「Web広告運用に関する助言および改善提案」と記載されていましたが、具体的な業務範囲や時間の上限が曖昧でした。B社は、契約範囲に含まれるとして、Aさんに連日、追加で市場調査やSNS運用代行の依頼をしてきました。

【問題点】 Aさんは業務量が増え続けて疲弊しましたが、契約書に具体的な業務範囲や時間上限が明記されていなかったため、追加料金を請求しにくい状況でした。結果的に、サービス残業のような形になり、報酬に見合わない業務を強いられました。

【回避策】 準委任契約では、「委託業務の内容」を具体的に、かつ詳細に明記することが最重要です。

  • 「月〇時間の業務に限定する」

  • 「〇〇に関するレポートを月〇回作成する」

  • 「定例ミーティングは週1回、1時間までとする」

  • 「上記以外の業務は別途協議の上、追加料金が発生する」 を契約書に盛り込みましょう。これにより、曖昧な依頼を断りやすくなり、追加業務には追加報酬を請求する根拠ができます。

失敗ケース2:成果が出ず、報酬が支払われない!?

【背景】 新規事業の立ち上げコンサルティングを準委任契約で請け負ったフリーランスCさんは、クライアントD社に半年間コンサルティングを提供しました。しかし、D社の事業は思ったような成果が出ず、D社は「結果が出ていないから報酬を払えない」と主張してきました。

【問題点】 準委任契約は「業務遂行」に対して報酬が発生するはずなのに、D社は「成果物の完成」を期待する請負契約のような認識でいました。契約書にも「業務を遂行したこと」に対して報酬が発生するという点が明確に書かれていなかったため、Cさんは報酬請求に難航しました。

【回避策】 準委任契約であること、そして**「業務の遂行」に対して報酬が発生する旨を契約書に明確に記載**しましょう。

  • 「乙は、本業務を遂行したことの対価として、甲に報酬を請求できるものとする」

  • 「報酬は、本件業務の成果の有無に関わらず、乙が本件業務を遂行した期間に応じて発生する」 などの文言を盛り込むことで、成果が出なかったとしても報酬請求の根拠を確保できます。

失敗ケース3:突然の契約解除で収入が途絶えた!

【背景】 長期のシステム保守業務を準委任契約で請け負っていたフリーランスEさんは、クライアントF社から「事業戦略の変更により、今月末で契約を解除したい」と突然告げられました。契約書には解除に関する規定がなかったため、Eさんは残りの契約期間分の報酬や、次の仕事を見つけるまでの補償を請求できませんでした。

【問題点】 準委任契約は、原則として双方からいつでも解除できる(民法651条1項)とされています。しかし、相手に不利な時期での解除は、損害賠償義務が発生する可能性もあります。契約書に解除条件が明記されていないと、解除の際に揉めやすくなります。

【回避策】 「契約期間」と「契約解除」に関する条項を具体的に定めることが重要です。

  • 「契約期間満了の〇ヶ月前までに、書面による通知がない限り自動更新とする」

  • 「中途解除の場合は、〇ヶ月前までに書面で通知する義務を負う」

  • 「当事者の責めに帰すべき事由によらない中途解除の場合、〇ヶ月分の報酬を補償する」 といった条項を設けることで、予期せぬ契約終了による収入の途絶リスクを軽減できます。


対処法:フリーランスが準委任契約で「強く」なるためのポイント

フリーランスとして準委任契約で「強く」なるためには、以下の実務的なポイントを押さえましょう。

  1. 「契約書」を隅々まで読み込む癖をつける

    • クライアントから提示された契約書は、必ず全文を読み込みましょう。特に、「業務内容」「報酬」「契約期間」「解除」「損害賠償」「秘密保持」の項目は入念にチェックしてください。

    • 曖昧な点があれば、納得いくまで質問し、必ず書面で明確にしてもらいましょう。 口頭での合意は、後で「言った言わない」のトラブルになりがちです。

  2. テンプレートを活用し、自分から提示する(またはチェックできる眼を持つ)

    • 自身で汎用的な準委任契約書のテンプレートを用意し、クライアントに提示することも有効です。これにより、自分に有利な条件や、忘れがちな項目を盛り込むことができます。

    • クライアントからの契約書に対しても、上記「基礎」と「失敗ケース」で解説した項目をチェックできる「眼」を持ちましょう。

  3. 業務の「記録」をこまめにつける

    • 準委任契約では、業務の遂行自体が報酬の根拠となるため、「いつ、何を、どのくらい行ったか」を記録することが重要です。

    • タイムログ、作業日報、メールのやり取り、打ち合わせ議事録などを保存しておきましょう。これは、万が一報酬トラブルになった際の強力な証拠となります。

  4. 秘密保持と個人情報保護は特に厳しくチェック

    • 業務でクライアントの機密情報や個人情報を取り扱う場合、秘密保持条項個人情報保護に関する条項は特に厳しくチェックしましょう。

    • 自分が負う責任範囲、情報漏洩時の損害賠償額の上限、安全管理措置などを確認し、過大な責任を負わされないように注意が必要です。

  5. 「トラブルを想定した交渉」をためらわない

    • 契約交渉は「揉めること」ではありません。「もしもの時」に備えて、お互いが納得できる落としどころを探る作業です。

    • 不利な条件や曖昧な点があれば、遠慮なく交渉しましょう。対等なパートナーとして、健全なビジネス関係を築くためにも必要なプロセスです。

  6. 専門家(行政書士)を「頼れる味方」にする

    • 「この契約書、大丈夫かな?」「交渉の仕方が分からない」「トラブルになりそう…」など、少しでも不安を感じたら、ブルーナ行政書士にご相談ください。

    • 私たちは、フリーランスの方々のビジネスを守るために、契約書のリーガルチェック、契約交渉のアドバイス、トラブル時の対応策など、法的な側面から徹底的にサポートします。専門家のアドバイスを得ることで、安心してフリーランス活動に専念できるようになります。


まとめ:準委任契約の理解で、フリーランスの未来を切り拓く

フリーランスにとって「準委任契約」は、日々の業務を支える大切なツールです。その法的性質や実務上の注意点を正しく理解し、適切な契約を締結することは、あなたのビジネスを守り、安心して成長していくための基盤となります。

「業務の遂行」が目的である準委任契約では、業務内容や報酬の条件を具体的に明記し、万が一のトラブルに備えた条項(損害賠償、契約解除など)を盛り込むことが不可欠です。また、日々の業務記録をこまめにつけることも、いざという時の強い味方となります。

【ブルーナ行政書士】は、フリーランスの皆さんが抱える契約に関する疑問や不安に対し、寄り添い、具体的な解決策を提供します。あなたの自由な働き方を守り、ビジネスを成功へと導くために、法的な側面から全力でサポートいたします。

契約書のことで少しでも迷ったら、どうぞお一人で悩まずに、私たちブルーナ行政書士にご相談ください。

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